<J1:大分2-0柏>◇第2節◇15日◇九石ド

 昨年は終盤まで残留争いに巻き込まれてしまった大分が、開幕連勝でJ1初の暫定首位に立った。MF金崎夢生(むう=19)の先制弾とFWウェズレイ(35)の2試合連続ゴールで柏に2―0で快勝。6年目のJ1で初めて開幕戦勝利を飾った勢いをホーム開幕戦でさらに加速させた。

 夢じゃない―。開幕連勝だ。暫定首位だ。大分の「夢見る王子」の一撃が、クラブに歴史的な勝利をもたらした。前半31分。小学時代にフットサルに親しんでいたMF金崎が、足の裏でのボールコントロールで相手DFを切り返した後、狙いすましたシュートを左サイドネットに突き刺した。「飛び込んでくるのが見えていた。練習通りにターンして(GKの届かない)ファーサイドから巻くように蹴った」。J1開幕戦を初めて制した前節の勢いを加速させる貴重な先制ゴールとなった。

 シーズン開幕前の不安を吹き飛ばした。今季補強の目玉として獲得したMF家長が、右ひざ前十字じん帯損傷で長期離脱。代わって高卒2年目の金崎が司令塔に指名された。いきなりの大役にプレシーズン中にはかみ合わない連係を不安材料として指摘されることもあったが「プレッシャーはない。少しずつレベルアップしていければ」。2月の宮崎キャンプでは、チームに帯同した家長に“弟子入り”し「家長くんは、いろいろアドバイスしてくれた。(家長復帰後には)一緒にプレーしたい」。家長のサッカー勘も吸収しながら確実に力を蓄えてきた19歳の新司令塔の努力が、ホーム開幕戦で花開いた。

 後半29分にはFWウェズレイの2試合連続ゴールで加点。守ってもGK西川と守備陣が、ハードな柏の攻撃を最後まで封じきった。試合終了の笛が響くと、まるで優勝したかのように控え選手と抱き合ったシャムスカ監督は「開幕戦に続いてトリニータ戦士のスピリットを見せられた」と満足顔だ。J1昇格6年目。何度となく残留争いを強いられたこれまでの大分の姿はもうない。開幕戦初勝利、そして史上初の暫定首位を成し遂げた今年の大分は、今までとひと味違う。【村田義治】

 大分DF森重(開幕3連勝という短期目標に近づく連勝発進に)「自分たちも(実現できる目標として)考えた。自信をもってやれている」

 大分溝畑社長(開幕連勝に)「こうなったらいいな、と思っていたことが現実になった。我慢強く使ってきた金崎が決めてくれてよかった。(故障離脱中の)高橋、家長からの『おめでとうございます』と電話がかかってきた。うれしい」