<J2:熊本2-1草津>◇第2節◇15日◇熊本

 美しい同点ゴールが、沈んでいた熊本スタンドに歓声を呼び戻した。後半33分、ゴール左にいたFW高橋が、MF福王忠世(23)が中央から出した長いパスを胸トラップし、右足でシュート。「(開幕の)愛媛戦と同じような感じで失点して、またかという雰囲気になっていた。良いタイミングで点が取れた。スタンドから声がたくさん聞こえて、励みになった」。ホームの勢いを体で感じた高橋は1分後、自らパスを送ったMF車智鎬(24)の右クロスにヘッドを合わせて逆転した。昨年JFL得点ランク2位のストライカーが、クラブの歴史的1勝をもたらした。池谷友良監督(45)は「あらためて彼の力を感じた。J2で十分やっていけるだけでなく、輝いていけると感じるプレーだった」とたたえた。

 広島時代の99年にJ優秀新人賞も獲得した高橋にとって、3年ぶりのJは勝手知ったる舞台だ。それでも、開門前から行列をつくった6000人近い観衆を見て、胸が高鳴った。「Jリーグのホームの雰囲気が感じられた。ここに来た3年前は、熊本でこの雰囲気ができるとは信じられなかった。頑張ってきた結果だと思うし、サポーターに良いプレゼントができた」。笑顔のエースは、記念すべき勝利の余韻をかみしめるように話した。【佐藤千晶】