<J2:広島3-0愛媛>◇第2節最終日◇16日◇広島ビ

 これが本命の実力だ!

 J2サンフレッチェ広島が16日、第2節愛媛戦を3-0の完勝で飾った。1万7250人が見守ったホーム開幕戦。攻めてはMF高萩洋次郎(21)の2発、エースFW佐藤寿人(26)の1発と破壊力を見せつけた。守っては2戦連続の完封と文句なしの勝利で開幕2連勝。涙の降格決定から99日…。優勝候補本命のサンフレがこの日、最も大切なサポーターの心をつかんだ。

 優勝候補本命の実力を見せつけた。引いて守る相手に、絵に描いたような攻撃で先制した。前半23分、DFストヤノフのロングパスを右サイドのMF李がダイレクトで中に折り返し、高萩が狙いすましたミドル弾。相手守備陣に時間を与えず、技術の結晶で先制に成功した。

 2点目はパワーで奪い取った。後半29分、敵陣深く切り崩したMF服部のクロスにFW久保が強烈な左足シュート。相手DFに当たったこぼれ球を、角度のないところから高萩が豪快に右足を振り抜き、この日2点目。「きつい時間帯だったから良かった」(高萩)。

 3点目は勝敗の鍵を握るセットプレーから。終了間際のロスタイム。FWユキッチの右CKに佐藤寿がヘッドでネットを揺らした。守備陣の間を抜く速いCKに、鋭く反応した佐藤寿の真骨頂で今季J2初ゴール。「昨年のゴールはアウエー席側ばかりだったので、サポーター席側で決められて良かった」と佐藤寿。守備陣の健闘も光り、無失点で開幕2連勝を飾った。

 試合後、サンフレッチェコールが鳴り響くスタンドに向かい、深々と頭を下げたイレブン。涙のJ2降格から99日…。サポーターの信頼を失ったあの事実は消しようがない。内容よりも結果が問われるJ2で、内容も伴う勝利をプレゼントした。1万7250人の目に、生まれ変わった姿をしっかりと焼き付けることに成功した。J1昇格へ、ホーム戦勝利は絶対条件でもある。サンフレはこの日、勝ち点3以上のものをその手につかんだ。【佐藤貴洋】