J2仙台のDF一柳夢吾(22)が29日の草津戦(ホーム)で、今季初めてベンチ入りすることが濃厚となった。チームは27日、泉サッカー場で練習を行い、紅白戦で一柳は主力組で出場。競り合いの強さなど、好調をアピールした。手倉森誠監督(40)は前節C大阪戦(1-2)の敗戦ショックを一掃するためにも、メンバーの入れ替えを示唆。キャンプ中に不祥事を起こした一柳に、失地回復のチャンスが与えられそうだ。

 3本行った紅白戦の2本目。DF岡山と組んで、主力組の右センターバックに一柳が入った。FW中原とのマッチアップで一柳は、持ち前の対人プレーの強さを発揮。ドリブルで仕掛ける相手を、右肩を入れてブロックした。「自分のウリですから」と、胸を張る一柳。ここまでの開幕4試合で、試合直前の紅白戦で主力組に入りながら、ベンチ入りしなかった選手はいない。一柳の移籍後初のベンチ入りは濃厚だ。

 気持ちの入った一柳の動きは、手倉森監督にも伝わった。草津戦でのベンチ入りこそ明言は避けたが「あそこに入ってほしい選手。チャンスはある」と評価。今季9人の新加入選手の中で、唯一のDFとして期待も大きい。実際、キャンプでは岡山と組ませて練習させており不祥事さえなければ開幕先発-、という青写真も指揮官にはあった。

 別の狙いもある。「負けた後は何かを試さないとチームが活性化しない」と同監督。開幕2勝2敗と波に乗りきれないチームを、一柳という「カンフル剤」で、再び上昇気流に乗せたい意向も見え隠れする。

 「ホームで最初の試合に出たい」と一柳。20日のホーム開幕戦でユアスタの芝を踏んだのは、自分を含めた4人が引き起こしたキャンプ中の不祥事の謝罪という、不本意な形でだった。「取り返しのつかないことをやった…。サポーターやすべての方の信頼を勝ち取るためにも、へたなプレーはできない」と表情を引き締めた。

 8月の北京五輪出場もあきらめていない。U-23代表の反町監督は4月下旬の短期合宿まで人選する考えを明かしている。「まずは試合に出ないと」と一柳。「再生」の2文字を心に刻んだ男が、手ぐすね引いて出番を待つ。【山崎安昭】