横浜の斎藤正治社長(58)と木村浩吉GM(46)が21日、来年1月のMF中村俊輔(29)獲得へ向け、所属のセルティックを訪問するため英国へ出発した。当初は今夏の獲得も検討されていたが、同社長は出発直前にチームづくりや営業戦略上の問題から「来年1月の獲得が現実的」と明言。23日までの現地滞在中に、ローウェルCEOと初会談を持ち、まずはクラブ間の良好な関係づくりをはかる。

 地元育ちのスター中村は横浜にとって、もはや戦力を超えた存在だ。集客増やスポンサー獲得など波及効果も絶大とみられ、今年1月には斎藤社長が中村の代理人を務めるロベルト佃氏と初対談している。一方、放出拒否の構えだったセルティックも、ここにきて方針転換。ストラカン監督は20日、横浜幹部の渡英を踏まえ「もし来季終了後に彼が日本に帰りたいと言ったら、我々は両手を挙げて『分かったよ』と言うしかない。今まで要求をはるかに超える仕事をしてくれたから」と初めて「移籍」を容認する発言を行った。

 中村とセルティックの契約は、現状では08-09年シーズン終了まで。もし指揮官の言うとおり、来季終了まで残留した場合、移籍金ゼロで横浜が獲得できる。10億円近い移籍金を、セルティックが放棄するとは考えにくい。中村と再度複数年契約を締結するか、契約期間内の来年1月の移籍を認めるかの選択になる。

 中村本人も横浜復帰に前向きなこともあり、来年1月を“Xデー”にするにはメーンスポンサーの日産自動車などの理解を得ることとセルティックと遺漏なく交渉を進めることが必要。「アクションを起こしていかないと」と木村GM。まずは自らの渡英で、セルティックに誠意を示す。