<J1:浦和4-2札幌>◇第9節◇29日◇埼玉

 三浦札幌、執念2発も力負け-。コンサドーレ札幌はアウェーで浦和と対戦し、2-4で敗れた。前半6分、MF砂川誠(30)が今季FWダビ(24)不在の試合で初得点となる先制ゴールを挙げた。1-1とされた直後の同25分には、新人DF柴田慎吾(22)が今季2点目を決め一時は勝ち越すなど、エース不在を感じさせない戦いを演じた。敗れはしたが、有事の際にも上位チームと勝負できることをしっかり証明した。

 幕開けは良かった。しかしそのあとに悪夢が待っていた。前半6分、先制したのは札幌だった。芳賀の縦パスに反応した砂川が、DF裏に抜け出し右足を振り抜く。これまで全ゴールに絡んできた支柱のクライトンではなく、“守備の人”芳賀を起点に生まれた意外な先制弾でリードした。

 追い付かれた1分後の前半25分には、柴田のゴールで再びリードを奪う。しかしそこから浦和の「個人力」にねじ伏せられた。2-2で迎えた後半5分、ゴール前でのワンツーからエジミウソンに3点目を献上し、同41分には高原-エジミウソンコンビにとどめを刺された。「前半25分まではやりたいことができたが、最後は点を取る選手がいるかいないかの差が出た」と三浦監督は言った。クライトンと西というMFの2トップで健闘も、勝ち切るまでには至らなかった。

 ただその策は間違いではなかった。前節26日新潟戦の前半34分、FWダビが退場した瞬間から対策は立てていた。2試合以上の出場停止を見越し、西をFWに上げた「ダビ抜き布陣」をテストした。その後、FW石井、MF岡本を投入した結果を踏まえ、試合後に三浦監督がコーチ陣らと会談。クライトンの相方には「動き出しがいい」と西を抜てきした。得点こそ奪えなかったものの、西自身「当たり負けないプレーができた」と手応えを口にしたよう、一定の成果は出た。

 攻撃陣が苦しい状況の今、守備陣の奮起は不可欠になる。開幕から9試合、いまだ完封試合がない。開幕から9試合連続失点はJリーグに参入した98年以降、99年の8試合を超えるワースト記録となった。しかも1点目がGK高木のキャッチミス、4点目は相手のクリアボールを追いかけた坪内がマイボールにしようとキープするも高原にボールを奪われての失点と、ミスも相次いだ。「1点差なら何とか追い付けたのに、あれでチームに迷惑をかけた。次は絶対にやらない」と坪内は次戦へ向け、自らを戒めた。

 次節からは3日に京都、6日に東京Vと、J1残留のためには勝ち点を奪いたい「昇格組2連戦」が控える。引き続きダビは欠くが、エース抜きでも攻撃に光明が見いだせたのは確か。V候補相手にアウェーでつくった見せ場を、今度はしっかり結果につなげなければいけない。【永野高輔】