清水商出身の磐田GK川口能活(32)は、自身7度目の静岡ダービー(3日、日本平)。静岡の「覇権争い」を制すべく闘志を燃やした。

 表情が引き締まった。闘志が、自然とわいてきた。清水との一戦を前に、川口は気持ちを高ぶらせた。磐田で迎える自身7度目の静岡ダービー。「ダービーはどっちが上か、その地域の盟主を争うもの。今の順位は関係ない。意地があります」と語気を強めた。

 磐田に移籍した05年。10月22日の日本平で経験した初アウェーを、今も覚えている。開始1時間半前に会場に着くも、選手バスはオレンジ一色のサポーターに囲まれて動けなくなった。いきなり洗礼を浴びた。試合は前半26分にMF西のボレーで先制したが、後半21分に清水MF兵働の同点弾を食らった。ただ「追いつかれたけど、互いにすごく内容のいい試合だった。そういう戦いをしたい」。

 清水商出身の川口も、何度もブーイングを受けた。ただ、ある記憶が自身を支える。高3だった93年6月9日の日本平。同校先輩の横浜MF山田隆裕が、自身の2得点で清水を破った。「山田さんが物を投げられて、ブーイングもされた。その姿に『格好いいな』と思ったんです。清水は好きだし、育ててもらった地。だからこそ、勝って恩返しがしたい」。川口は、燃えている。【今村健人】