東京が、早ければ今季中のホームスタジアム「緊急移転」を検討していることが13日、分かった。本拠地の味の素スタジアムは近年、芝の根付きが悪く、クラブ側は昨年から運営会社の東京スタジアム側に改善を要求。だが、今季になってもピッチの凹凸が激しく、選手から状態の悪さを指摘する声が絶えないため、東京の村林裕社長は「経営的にはリスクを負うが、スタジアムを移転せざるを得ない」と「決別」を辞さない考えを明かした。

 東京は昨季、味スタ開催試合でリーグ戦とナビスコ杯、天皇杯を含む公式戦5勝1分け12敗。芝の状態が回復した今季は開幕から4勝3分けだったが、6日名古屋戦から状況が一変した。同スタジアムでは試合直前の3、4日に人気ロックバンド「X

 JAPAN」のコンサートを実施。スタジアム側からはチケット販売開始後に詳細日程を知らされたため、会場を変更できず、中1日で痛んだ芝に足を滑らせる選手が続出した。名古屋戦に続き、10日柏戦も連敗。サポーターからも、過密日程でのサッカー以外のイベント開催を疑問視する声が噴出した。

 村林社長は「地元ファンの皆さまには大変申し訳ないが、今季中でもチケットを販売していない試合については、ほかの競技場での開催を検討したい」と話す。ただ、都内には本格移転が可能な競技場がなく、今回検討されるのは、いわば緊急避難的な措置となる。

 試合開催基準を満たす国立競技場もJリーグの方針で原則、クラブの本拠地に指定できない。ただ、東京は、東京スタジアム完成前年の00年に1年間限定で国立や西が丘、江戸川、駒沢の各競技場をホームスタジアムにした前例があるだけに、村林社長は「地方開催も含めて、今後、Jリーグと話し合いたい」という。東京がシーズン途中に、前代未聞の難題に直面した。