<ナビスコ杯:名古屋5-1浦和>◇予選リーグA組◇8日◇埼玉

 ピクシー名古屋がアジア王者浦和を粉砕した。途中出場のFW杉本恵太(25)のハットトリックなどで、5-1で大勝。ナビスコ杯予選リーグは勝ち点15(5勝1敗)でA組1位となり、決勝トーナメント初戦の準々決勝(7月2日、8月6日)はC組1位千葉との対戦が決まった。リーグで首位を争う浦和に今季3戦3勝。気持ちよく9日から11日間の完全オフを迎えることになった。

 杉本が浦和を粉砕した。1-1に追い付かれた3分後の後半12分にピッチに入った快速FWは同16分の右足弾から同31分に左足、そして同42分に頭でトドメを刺した。自身、名古屋入り後2度目、途中出場では初のハットトリック達成で赤く染まったアウェー埼玉の観客を黙らせた。

 会見で「オメデトウゴザイマス」と日本語で祝福してみせたストイコビッチ監督は、このスピードスターに「ゴールデンボーイだ」と新たな呼称を授けた。消化試合だったが、杉本は「しっかりたたいて、よりイヤな相手だと思わせたい」と浦和に苦手意識を植え付ける目的を持って臨んでいた。文句なしの3発に「相手に脅威を与えられたと思う」と胸を張った。

 ハットトリックは、生まれてくる3人目の子どもを含めた最愛の家族に贈る。愛妻の楓さん(26)が新たな宝を授かった。体調も考慮し公表時期をじっと探っていたが「もう安定期に入ったんで」と自身の活躍に合わせ、最高のタイミングで発表。「9月に生まれてくる子に贈りたい」。何とも頼もしい父親ぶりだった。

 杉本の活躍に隠れた形となったが、1得点&2アシストのMF小川も浦和キラーぶりを存分に発揮。これで今季浦和と対戦した3試合すべてで得点を挙げた。それでも「次のリーグでの対戦が一番大事」と早くも、残る9月のリーグでのホーム戦を見すえた。

 スッキリ勝ってつかの間のオフを迎える。指揮官は「まずはゆっくり休んでほしい。選手はそれに値するプレーをしてくれた」。前半戦の締めくくりは、今季のピクシー名古屋を象徴するアジア王者相手の圧倒的なゲームだった。【八反誠】