自慢のドリブルで昨季在籍した古巣をズタズタに切り裂く-。そんなイメージが西山には描かれている。「途中から出ると思いますけど、流れを変えたり攻撃にアクセントをつけられればいい」。課せられた役割を果たす覚悟だ。ベンチ外に甘んじ続けた9試合。この間「DFの裏を取ったり(ドリブルの)仕掛けがあればいいな」(西山)とDF陣を崩しきれないチームの弱点を分析していた。

 小学生時代からあこがれた、カズの前で勝ちたい。その思いも強い。「さりげなくアドバイスをくれる方です。『(元ブラジル代表DF)ロベカルはお前と身長が同じくらいだけど体はゴツイぞ』と言われて本格的に筋トレをしました」。キングの助言を信じ、162センチの体を鍛えた。成長した姿を見せつけるには、ゴール以上のものはない。

 4月6日の対戦で、1-1で引き分けた相手に勝ちきるための「刺客」に、指揮官は西山を選んだ。「間を縫っていく動きは、相手が嫌がる。第1クールを使わなかった分、第2クールは隠し玉として使いたい」と期待する。「(バルセロナのFW)メッシとかのドリブルを意識する」という西山。相手の守備網をすり抜け、ゴールにつながる一瞬を「忍者」は逃さない。【山崎安昭】