<J2:C大阪3-3甲府>◇第20節◇15日◇長居

 日本代表MF香川真司(19=C大阪)が「帰国即ゴール」の離れ業を演じた。W杯アジア3次予選のタイ戦(アウェー)から15日朝に帰国し、同日午後4時キックオフのJ2C大阪-甲府戦に後半から出場。1-2の同8分、左足で鮮やかな同点ゴールを決めた。タイからの移動中、オマーンがバーレーンと1-1で引き分けたため、日本の3次予選突破が確定。「19歳の鉄人」は、タイ戦からわずか20時間後の一発で、岡田武史監督(51)に最終予選メンバー入りを早くもアピールした。

 19歳の日の丸戦士が、たくましさを見せつけた。1-2の後半8分、ゴール前に上がった浮き球に香川が反応した。鋭いダッシュでDFライン裏に抜け出し、左足で軽く合わせた。GKの頭上を越す技ありの一発。「DFラインの裏を簡単にとれていたし、GKの動きも見えていた」。ベンチ入りだけでも驚きの状況で、試合に出て、ゴールまで決めた。「岡田ジャパンの新星」は規格外だ。

 多くて週2試合のプロサッカーで、2日連続の出場は極めて異例だ。前日は国を背負ったW杯予選、高温多湿のタイで83分間出場した。約4500キロの距離を超え、この日午前7時50分に帰国したばかり。それでも、試合前にレビークルピ監督から「どうする?」と聞かれて「出たいです」と即答した。「出る気満々だった。チームのために貢献したかった」。

 「鉄人」になりたい。代表初先発のタイ戦は終盤に足がつった。「これじゃ世界では通用しないことを痛感した」。バンコクから関西空港への約6時間のフライトでは、一睡もできなかった。試合前に2~3時間、昼寝しただけだ。「体力がないのを感じたので、弱音は吐けないでしょ」。世界のトップレベルと張り合うためには、休んでいられなかった。

 22日のバーレーン戦は、21日に福岡戦があるため、招集されない方針だ。タイ戦直後のバンコクの空港では、岡田監督に呼び止められて、搭乗口まで一緒に歩いた。約10分間、直々に激励された。岡田ジャパンに必要な人材と認められた証し。その期待に応えるような帰国即日ゴールは、9月からのW杯アジア最終予選に向け、絶好のアピールになったはずだ。【北村泰彦】