ベガルタの再浮上を願う“2人の指揮官”が、行動を起こした。17日の練習前、J2仙台の手倉森誠監督(40)が、イレブンを集めた緊急ミーティングでゲキを飛ばした。0-3と完敗した、15日の山形戦で影を潜めた気迫を求め約10分間、熱弁。普段は温厚な指揮官のゲキに、選手は直立不動で聞き入った。また「ピッチ上の指揮官」MF梁勇基(26)は、山形戦の反省点を各選手から収集。司令塔として連敗を避けるための修正に、躍起となった。

 包み隠す必要などない。血走った目、そして終始、強い口調で指揮官が“進軍ラッパ”の内容を報道陣に明かした。

 手倉森監督

 ライバル(山形)に負けたのが、オレは誰よりも悔しい。山形も(5月18日に2点差を仙台に逆転された)ダービーの悔しさが、今の好調さにつながっている。4連勝したことがあるんだから、ここから3連勝しないといけない。そうしないと、オレもサポーターの気持ちも晴れない。サポーターにすれば(今回の負け方は)汚点だよね…。選手個人の自信をなくさないで、常に気迫を出さないといけない、と円陣で言った。

 たかが1敗、と忘れては進歩がない。敗因の一因と分析した「気」の部分を、指揮官は早々に修正したかった。この日はフィジカル中心のつらい練習。それでも、あちこちから威勢のいい声が飛んだのは「闘魂」が確実に注入された証しだ。

 監督が精神面の立て直しを図れば、主将は技術面の修正に躍起になる。試合が始まれば“ピッチ上の指揮官”になる梁だ。練習の合間にFW平瀬、MF永井、DF岡山らから、修正点を吸い上げた。

 MF梁

 ヒラさん(平瀬)とかと実際、試合でうまくいかない部分があった。パスを出す方として聞きたいことがあった。このままズルズル行くわけにもいかない。全体の(攻撃への)スイッチの入り方に波があるから、この成績(4位)にいる。実際、指揮するのは監督だけど、ピッチでやるのは選手。ホンマ、自分たち次第だと思う。

 指揮官が選手のたがを締め、司令塔がピッチ内をまとめた。団結したベガルタの強さを示すには、勝利しかない。【山崎安昭】