<J1:札幌2-2清水>◇第15節◇5日◇札幌厚別

 札幌が“厚別の空”を制し、引き分けに持ち込んだ。コンサドーレ札幌がゲンの良い札幌厚別公園競技場で清水と2-2で引き分けた。公式戦5連敗中のチームはリードを許すも、セットプレーから前半29分にダビ、後半29分に池内が頭で同点弾をたたき込んだ。これで札幌厚別では13戦負けなし。リーグ戦では3試合ぶりに勝ち点1を奪った。この日も2失点と開幕からの連続試合失点は「15」に伸びたが、高さを武器にした攻めの形は完成した。

 今季初の“聖地”札幌厚別で84日ぶりとなるホームで勝ち点をもぎ取った。試合後、引き分けにもかかわらずスタンドが総立ちとなった。選手たちがゆっくりとピッチを1周し、あいさつする。歓声に包まれるなか、1人だけベンチへ向かう男がいた。この日、2アシストのクライトンだ。気温28・4度のピッチを駆け回った大黒柱は「頭が痛い」と険しい表情で引き揚げた。脱水症状に見舞われていた。それだけ壮絶なゲームだった。

 嫌な流れを止めたのは中断期間中に強化した“空中戦”だった。新加入の箕輪、アンデルソンの187センチコンビに加え、この日は左サイドハーフに186センチの中山を起用。1点をリードされた前半29分、CKでその3人がゴール前に上がった。クライトンのCKは、おとりになった3人の頭上を越えた。遠いサイドでフリーになったダビが頭で合わせ同点に。再びリードを許したが、後半29分に池内がクライトンのクロスをヘッドで押し込んだ。

 高さを武器にした作戦は当たった。フィールド10人の平均身長は今季最高の181・8センチ。三浦監督も「中山のプレーは非常に満足。献身的で強い選手は必要。セットプレーから点を取ったのは評価できる」と話す。この日、箕輪にロングスローを命じるなど、空中戦を徹底した。中断期間明けの2試合で4得点。そのすべてがセットプレーからだった。それだけではない。西沢ら経験豊富な選手の起用で悪い流れを切り替えられるようになった。

 攻撃面は上昇カーブを描くが、守備では課題を残した。一瞬、ゴール前にスペースが空き、先制点を許した。今季公式戦21戦で無失点試合は1試合のみ。前半でルーキーの柴田を下げ、西沢をセンターバックに据えるなど、試合中に修正を図ったが、堅守がベースのチームだけに、先に失点するとゲームプランに狂いが生じる。次節は千葉との下位チーム直接対決。キッカーのクライトンを出場停止で欠くなど、厳しい現実が待っている。「2アシストは満足しているが…。次節は応援するしかない」とクライトンは言う。J1残留のためにも、負けるわけにはいかない試合が続く。【上野耕太郎】