<J1:川崎F2-1横浜>◇第15節◇6日◇等々力

 どんどん決めて稼いで、そして代表復帰だ!!

 川崎FのFW我那覇和樹(27)が、横浜戦で公式戦4試合連続ゴールを決めた。試合も2-1で勝ち、チームの連敗も3で止めた。昨季のドーピング規定違反の取り消しを求めて、4月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)の聴聞を受け、仲裁費用負担額は3441万2218円。募金を差し引いて残った1500万円もの赤字解消しと、昨年2月以来の代表復帰へ、ゴール量産態勢に入った。

 点取り屋の嗅覚(きゅうかく)が働いた。前半10分、右サイドを抜け出したFWジュニーニョがシュートを打った瞬間、我那覇はゴール正面に飛び出した。痛烈なシュートをGK榎本がはじくと、こぼれ球を迷わず右足で押し込んだ。「こぼれは狙っていた。うまく目の前に転がってきた」。日本代表MF中村を「ガナは持ってる。取ってくれるし、あそこにいるもん」と感服させた。

 5月27日にCASから、昨季のドーピング違反が無効と裁定され、心身ともサッカーに集中できるようになった。「仲間と楽しくサッカーができている」。その言葉通り、同31日のナビスコ杯札幌戦でゴールを決めた。6月8日の同杯千葉戦、リーグ再開初戦の28日新潟戦と3連発。ただ1勝2敗と勝ちきれず「チームの勝利に貢献できなかった」と、うなだれ続けた。

 そんな時、大きな理解者が後押ししてくれた。故郷沖縄の宇栄原FCの先輩で、元ビーチサッカー日本代表の新城正樹氏が、5月に続き募金活動をするため上京した。試合前日5日に、麻生練習場で対面し励まされた。「和樹1人で頑張らなくてもいい」と勇気づけられたことも、公式戦4連発につながった。

 今は目の前の1戦1戦を戦うことに集中している。この日視察した日本代表の岡田監督も、後半23分の交代を見て「まだ90分は持たなそうだね」と早期の招集は明言しなかった。まずはアピールし続けることで、自分の価値を上げる。それが1500万もの赤字解消と代表復帰につながる。「稼ぎたいですね。どんどん上を目指したい」。我那覇はもう、止まらない。【村上幸将】